武術太極拳

中国武術の起源は遠古時代の原始社会にある。

当時原始人は、生きるために飛禽野獣と格闘し、部落や氏族と戦闘してきた。戦う為に
石器械を持ち、拼殺格闘の動作を組み合わせ、単純な原始武術となった。
その後、長い時代に渡り軍事戦闘の為の武術訓練として発達してきた。それは欠かすこ
とが出来ない大変重要な役割を果たしている。但し、火薬と遠距離殺傷武器が誕生して以
降は武術のスピード、殺傷能力が鉄砲に適わなくなった事が原因で、軍事戦闘力としての
武術は徐々に衰退し、その後、軍事用の武術は護身術に展開していった。
また、多数の武術家は医学に傾倒していき、健身健康と病気予防としての武術を模索す
る時代になっていった。

中国武術には約 300 の種目が存在し、長拳と南拳以外は動物の形態を真似ている。蛇拳 、
虎拳、鷹拳、猿拳、蟷螂拳、鶴拳、鴨拳等がある。そして様々な武器を使う武術としては 、
刀、槍、棒、剣、扇、棍、鞭、佛塵等があり、力強く速やかな動作を中心としたものから 、
柔らかく巧妙な技を使う武術もあり、多彩な種類の項目がある。

武術は流派を内家(武当)拳、外家(少林)拳とに分けることが出来る。
内家拳は(以柔為主)柔を主とし(勁薀於内)勁力を内臓。
外家拳は(以剛為主)剛を主とし(勁顕於外)勁力は外に現れている。
時代は流れ、外家拳は門派と拳法が多く、内家拳は逆に門派・拳法ともに少ない。代表的
な内家拳は八卦拳と形意拳のみである。その二つの拳法は本当に素晴らしく、現在の主流
である。

八卦拳の特徴は円の形で歩く。軽く敏捷に動き、「静と動」と「虚と実」の変化を重んじる。
形意拳(心意拳とも言う)の要求は「心と意 」を集中し、「手と足」の動作を支配し応戦する。
その二つの拳法の特徴を吸収し、独特な風格を構成させ、新しい内家(武当)拳を代表する
太極拳は約 300 年前に生まれた。

太極拳は陳、楊、呉、武、孫と五つの流派があり、様々の動作と套路に相違はあるけれ
ども太極拳の真髄は同じである。

太極拳は本来、「防身養身」の為にあり、(以柔克剛)防身は柔よく剛を制し、(四両
拔千斤)小さな力で大きな力に克ち、相手の力の方向を察知(聴勁)して、柔らかく相手
の力を外し、自分の勁を合理的に攻防として使う技法である。

養身とは、太極拳の動きの中で(軽松自然)自然に気を静め、(緩慢柔和)緩慢であり
穏やかに、呼吸と動作を組み合わせ、ゆっくり、ゆったり、リラックスすることにある。

太極拳は、精神的に安定し、心が悪気分から愉快感に転換して行うことで、自信と自制
の意識に適応する効果(心理栄養剤)があり、足腰を強くする為に(邁歩猫行)猫足で歩
く形を摸傲して中腰で行う。継続することによって、足裏のつぼをマッサージし、血液の
循環にも良く五蔵六腑全体の機能を高め、新しいエネルギーが体に生まれる。

太極拳はすべて陰と陽の動作(上と下)(左と右)(前と後)を組み合わせて行い、
人間体の筋肉、靭帯、関節等を均等に運動をさせることによって、バランス感覚をアップさ
せる効果を期待出来る。また太極拳は高齢者や虚弱体質の人にも、体力に合わせて、自分
のペースで参加する事が出来る健康法です。

陳 建強